
家づくりにおいて、「道」はただの移動手段ではありません。それは家と外の世界をつなぎ、人々が交わる場を生み出す存在です。道がどうあるべきか、どのように家と呼応するのかを考えることは、その住まいがどんな物語を紡ぐかを決める重要な鍵です。
今回はそんな思いを募らせた「道と家」3部作として完成した家たちのご紹介をしたいと思います。
第1章の『道草ハウス』は今週木曜日1月30日にYouTubeショート動画でお披露目します。
是非ご覧ください。
1. 第1章:『道草ハウス』~道と家の出会い~
私が手がけたこの家は、建て替える前は祖母が定食屋さんを長年続けていました。しかし建て替えを機に定食屋さんはやめることになりました。しかし、常連客だった友達とのつながりをそのままにできないかと考えた作品です。家の中心に道路と道路をつなぐ小道を配置し、片方は祖母の友人たちの道、もう片方は家族が入る道としその道は繋がっています。毎日ようのように気兼ねなく遊びにくるご近所の友人たちとここに住む家族全員が繋がります。開閉できる門扉によってセキュリティは守られています。外の喧騒から離れ、自分たちの居場所へと心を導く道。この「出会いのデザイン」が、家族にとってどれほどの影響をもたらすかを感じています。
『道草ハウス』~道と家の出会い~
2025年1月30日 YouTubeショート動画アップ予定
2. 第2章:『michiie』「道が紡ぐ記憶」
道は、人々の記憶を紡ぐ舞台でもあります。子どもたちが家から飛び出し、友達と遊んだ道。家族が並んで散歩した道。季節の移ろいを感じながら歩いた道。それらすべてがその人の「人生の風景」を作り上げていきます。
私が設計したこの住宅では、玄関からリビングダイニングキッチン、仕事部屋へいくまでゆるく屈折した道を通っていきます。2階も同じようにくねくねと屈折した道のところどころに小部屋があり、そこで本を読んだり寝転んだり、木や空を眺めたりします。陽が差し込むその道では、親が子どもの成長を見守り、家族が自然と触れ合う日々が重ねられています。道は単なる通路ではなく、家族の歴史を刻むキャンバスでもあるのです。
『michiie』~道が紡ぐ記憶~
3. 第3章:『火と水と空を繋ぐ家』~未来へ続く道~
「道」と「家」は、未来への橋でもあります。これから先、家族がどのように成長し、どのようにその家を使うのかを見据えたデザインは、未来への可能性を広げます。
この家では、地下1階、1階、2階を緩やかに繋ぐ「内なる道~光の階段~」を作りました。この設計は、子どもたちが自分の部屋とリビングを行き来しながら、自然に家族と触れ合えるよう意図されています。そしてバスルーム、サニタリー、キッチンは別のエリアに配置し緩やかにつなげつつ、屋上に空と繋がる細長い空と繋がるルーフテラスを配置しています。
家の中にはバスルームで水と繋がり、キッチンで火を使い、バルコニーで空と繋がる。この当たり前のような日常を非日常のように特別な繋がりになるように取り組んだ作品です。
『火と水と空を繋ぐ家』~未来へ続く道~
4. 家はあなたの人生と共にある
道は、家の一部であり、家族の人生の一部でもあります。設計を通じて「道と家」のつながりを考えることで、より豊かで心地よい暮らしを生み出せるのではないでしょうか。
この「道と家」3部作では、
私が考える建築哲学とお客様が幸せになるためのストーリーを共有させていただきました。
皆さんが考える「家と道」の物語もぜひお聞かせいただければと思います。
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